字源は「糸偏」と「逢」との形成文字で、糸が布に出会うという意味。
初めに縫うという文字の心を読む。心澄まし静かに対峙すると何かが語りかけてくる。
「旁」の中の縦画が針にして欲しい・・・と。では布は?糸は?
「しんにょう」が淡い線で反物となり、軽やかに針に通された糸が、心を込めまさに一針を縫おうとする一瞬の景が広がった。
「心書」は、古代の文字に帰するばかりでなく、むしろ現代の文字の画をベースにして感ずるまま多様な線で書表現したもの。色、音、時間なども感じて頂ければ幸いである。

三千数百年昔、鳥獣の足跡、自然現象などから生まれたと言われる甲骨文字が、時代のの人々によって育まれ愛しまれながら今日に至った。そんな文字に現代の感覚を吹き込めば新たな世界が広がるかもしれない。私独自の書表現である「心書」はこの様にして生まれた。文字の持つ心、作者の心、そして鑑賞者の心によって、幾重にも広がることを願いつつ。

園家 文苑(そのけ ぶんえん)
東京都生まれ。京都市在住。
伝統書道を経て、1984年に文字に命を甦らせた独自の書表現を「心書」と名付けて発表。
現在、文部科学省認定硬筆毛筆書写検定京都府審査委員。
園家書研究会 主宰
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